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25年を振り返り思う事 (変形性股関節症との関わり)

 私が変形性股関節症という病気に携わることになったのは、偶然であり、なんら計画的なものではありませんでした。医師になった後、私はどの科に入局するか決めきれずに、知り合いの勧めで日本医大の麻酔科に入局し、1年間外科系の手術を見学していました。麻酔科側から見る風景は、まさに興味深いシーンの連続でしたが、自分は見ているだけという観念が抜けきれず、先輩医師への相談の結果、横浜市大整形へ入局する事になりました。先輩には「こんなに、おもしろい学問はないぞ。」と言われましたが、半信半疑で入局しました。 
 昭和61年に横浜市民病院へ赴任し、その頃、市大前助教授の奥山先生の執刀で、人工股関節の手術が盛んに行われておりました。私はその手術のほとんどに助手として入る機会を得、変形した股関節を、まのあたりにしたわけです。手術中、初めて見る人工関節の動きや設置位置や角度、さらには筋肉のダイナミックな動きに驚きと興奮を憶え、術後の患者さんの歩行状態を見に行っては感心したものでした。痛みの激しい末期の患者さんには福音である手術法でしたが、なぜここまで関節は変形するのか、進行を防ぐ手立てはないのか、もっといい治療法はないのかなど疑問は深まるばかりでした。翌年、関東労災病院勤務となり、幸いにも副院長であられた高橋先生のもとで多くの股関節疾患の治療を経験する事が出来ました。特に、寛骨臼回転骨きり術の歴史や考え方、また関節や軟骨代謝についての基本を知りえた事は大きな収穫でした。関節の形を変えて理に適うようにする手術法で、その関節自体の治ろうとする力を利用しているところに目から鱗がおちるという思いでした。
 さらに翌年、市大の股関節クリニックにおいて、治療法の良否を知りたく、変股症患者の術後の状態を徹底的に調査しました。しかし、術式ごとの成績とはあまりにも多くの要因があり、実に混沌とした結果でした。術者の技術的問題、患者さん各々の体の違いなどで成績を測る尺度にも考慮が必要でしたし、手術する時期についてもわからないままでした。そこで、何の手術も受けず、経過を観ているだけで、何年も病院に通っている(外来受診を続けるの意)、いわゆる自然経過例の患者さんを調査したわけです。中には25~30年以上にわたり通院されている患者さんもいて、そのX線変化や歩き方、痛みの具合などすべてが興味深い結果でした。最初はⅩ線写真を並べて眺めておりましたが、次第になんとなくアイデアが浮かび、調べていくうち、手術例と自然経過例の結果を合わせてみると1、股関節は構造的欠陥があると年齢と共に変形の進行する例があり、欠陥の程度と年齢および関節の形により推測可能であること。2、変形は進行するほど悪化するスピードは速くなる。3、若い年代では、必要であれば、骨きり術を中心とした関節温存手術を第一選択とすべきであるが、年齢と変形の進行状況、関節の形により、人工関節も合わせて手段を考慮すべきである。4、リハビリテーションは手術するしないに関係なく大切な治療手段であるが変形を治癒させるものではない。また、リハビリテーションの方法や、やり方を誤るとかえって炎症の悪化を招く事がある。5、関節が破壊されていれば痛みだけでなく、身体の機能があまり失われず、悪くなった股関節を補う他の関節が壊れない事も考えて人工関節の手術を考える、等々、専門的にはもう少し詳しくなりますが、以上のような事が解ったのです。
 それから2年後、思いがけなく私の父までもが変股症となり、末期関節症のため人工関節の手術をいたしました。父の希望で私が手術したのですが、術後父の歩く姿を見ていますと、不思議な運命のいたずらを感じつつ、私はさらにこの病気の深みに入り込んでしまった次第です。また、父は術後17年で人工関節の一部が壊れ、取り替える手術をいたしましたが、その後1年で亡くなりました。生前、「私が死んだら、私の身体を自由に解剖して研究しなさい。」と強く言っておりましたが、残念ながら解剖できず、遺骨の中の人工関節をそっと拾い上げた時の辛さは忘れる事のできない記憶となってしまいました。
 治療後長年にわたり経過観察していきますと患者さん各人、様々な出来事が生じます。そのひとつひとつに対処していくうちに予想された事や意外な事が明らかになってきます。全身的な状況(からだの具合)を知りつつ、患者さんに一番良い治療法を選択してあげる事も重要な使命であると感じます。 最近では、両側変形性関節症を長期にわたり患った患者さんに頻発する腰の病気(腰部脊柱管狭窄症)による歩行障害や変形性膝関節症についても多くの治療に携わり、もう少し進歩した細やかな医療の必要であると考えております。要するに、腰と股関節、そして膝などは同じ体の中で支えあって機能している訳ですから、体の中心にある股関節が悪ければ、その機能を肩代わりしなければならず、大変苦しい状況の中で動いているという事なのです。ですから、悪い関節のままいたずらに長い期間放置されますと(本人はそのつもりではない)、股関節は手術で治ったけれど腰や膝の病気のため歩きにくいとか、あるいは足がしびれてつらい等の問題が生じ、腰や膝の手術も必要になる事があります。運悪く変股症になられた方にとって、長い人生の中で、最小回数で最も効果の高い手術治療を望むわけですから、長い目でみて何が一番よい手段か、リハビリを含む保存加療の方法や開始時期まで十分考慮する必要があります。手術治療であればベストな時期に適切な術式を正確で迅速に行い、手段が偏らない事も重要かと思います。また、患者さんの環境、社会的状況、年齢を考慮しつつ治療する、いわゆる患者マネージメントも大切な事です。そして、痛い足からから開放され生活の質的向上が叶えば最高と言えるでしょう。

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